日本においては、近年 不動産調査 という業務にスポットが当たってきているようです。
不動産のトラブルに後々になって膨大なロスや損をするより、
事前にコストをかけてでも防止したほうがよい。
というのが意図のようです。
日本の『不動産登記法制度』の将来を考える時、諸外国(特にアメリカ)の不動産登記(登録)システムはどうなっているのかという分析は、大変参考になっていくものばかりです。
その中でアメリカの不動産登記のシステムは、素晴らしい部分が色々な面であります。
・エージェントといわれる 不動産スーパー専門職がいて、数種の不動産の専門職を統括してナビゲートする
・エスクローシステム(決済金信託システム)ができあがっている
・決済時の登記保険なるものがあること
・不動産を購入決断するまでに、一定の調査期間がある
・不動産エスクロー調査というものを自分の判断で利用できる
・問題があった場合は、クーリングオフ(白紙撤回)できること
等々、日本において、実現されていけばよいなという内容ばかりです。
色々な面での、取り入れ、改善は日々なされているようですので、
今後の不動産登記制度の改善何度もなされていくかと思います。
その中で、不動産調査(エスクロー調査)の部分については、
現段階でもできる作業です。
エスクロー調査につきましては、津村重行先生が長年、研究・実践されてきておられています。
津村先生のHPは大変参考になるかと思いますので、またご興味のあるかたはご覧になられてください。
津村重行先生 HP
『エスクロー調査 〜不動産トラブルのない社会を〜』
http://www2.odn.ne.jp/escrow-tumura/
不動産の売買をされる際には、このような工夫を取っていかれることも、
より満足のいかれる安心した取引につながるかと感じます。
例えば、法務局にある不動産登記データの証明書類である、『不動産登記簿謄本』 にしましても、ほとんどの場合は、明治時代の初めまでさかのぼることができます。
そうしますと、その物件(土地や建物)の大昔からのデータが分かってくるという事になっていきますが、昔その土地が「田」や「畑」であったとか、「池」や「沼」場合によっては、河川であったり墓地 等々の(人によっては、あまり好ましいと受け取られないケース)経歴がでてくるのも事実です。ここの部分は、通常の売買の流れにおいては知らぬが仏なのでしょうか、意外とされておられない方が多い様に思います。
また、不動産調査については、市役所や県庁等で、かなり細かい経歴等々を調べていく事ができます。このような調査を活用されることも一つの手段と思われます。不動産売買における、登記手続きの中で、このような調査までお願いされるケースは時々ありますが、気になるのならばこのような調査業務を利用をされる事も一案かもしれません。
また、最近においては、大手の不動産業者においても、重要事項説明のほかに、上記のような調査事項をもふくめた事前説明をされておられるような所も出てきているようです。
土地・建物といった不動産の、権利(所有権や抵当権等)は、あくまでも抽象的な、人間が考え出した権利です。元々そのような権利がひっついていたわけでありません。
アメリカの登記システムは大変先進的であると思うと個人的に感じますが、そのアメリカの開拓時代においてた、ネイティブインディアンと移植者達とで、大きく 『 土地 』 というものに対しての考え方が違っていた話はとても印象的です。
移植者たちは、まさに『土地』を『自分』が『所有する』 という考え方です。
一方のネイティブアメリカンインディアンたちは、『自分たち』が『土地』に所有されている、属している
という様な感覚です。
『自分たちが土地を所有する』といったことは、
『自分たちが土地に属している』のだから当たり前だといことで、
多くのネイティブインディアン達が契約書にサインをしていった事実があったと聞いていますが、
この当時の多くのアメリカンインディアンの方々が持っておられた感覚や意識といったものが、
現代において、国際的にも、日本においても、クローズアップされてきているのかもしれません。
ご先祖様からの土地の承継というような意識の強い日本においても、
うろこの落ちるような話の一つなのかもしれません。
ありがとうございました。